持続可能な社会を考える 「代替肉について考えてみる」

地域課題・社会課題環境

今日は、こんにちは、ゆうあいセンターCSR相談員 小桐です。
今回は少し前になりますが、2022年1月7日の山陽新聞に 健康志向・環境保護 KFC 全米で代替肉チキン販売という記事が掲載されました。
今回は、SDGsにも関係するこの内容について少し深めたいと考えます。

先ずは、記事の抜粋です。
「KFCことケンタッキー・フライド・チキンは、植物由来の代替肉を使ったフライドチキンを期間限定で1月10日より、全米で発売と発表。同国のビヨンド・ミートという代替肉の大手企業。
米国では。若者中心に、健康志向と環境保護への意識が広まり、代替肉の需要が伸びている。

代替肉は、畜産に比べ、生産過程で温室効果ガスの排出や水資源の利用が抑えられる。
2019年8月ジョージア州アトランタ、2020年7月カリフォルニア州の50店舗以上で販売し好評だったため全米で展開。

さらに、同国の大手外食チェーンも代替肉の取り扱いを増やしている。バーガーキングは2019年から代替肉を使ったハンバーガーを発売。スターバックスも2020年6月に代替肉ソーセージを使った朝食用サンドウィッチを発売。
マクドナルドも2020年11月カリフォルニアで代替肉ハンバーガーを期間限定で販売した。
日本でもモスバーガーでも動物性の食材を使わないグリーンバーガーを販売。ニッポンハムや」伊藤ハムも肉を使わないハムや肉団子の商品を販売している。」

テレビ番組では、色々な放送局でグルメ番組や旅番組で和牛など肉食のススメ的な番組が放映されており、みなさんも目にされることがあると思います。
ある意味、テレビ放送とは逆の内容である新聞記事ですが、どのように受け止められますか?

以下肉の生産に関わるデータや畜産に関わる温室効果ガスの情報や、世界の食に関する情報などをご紹介します。
< 日本における畜産飼料のデータ >
・日本の配・混合飼料の製造量 は年間2,300万トン前後で推移して おり、全体の約80%は海外からの輸入に頼っています。
・その畜種別飼料の内訳は、産卵鶏用が24~25%、ブロイラー用が15~17%、豚用が25~26%、乳牛用が13~14%、肉牛用が16~19%、混合飼料が2~3%となっています。

・日本の家畜用配合飼料の原料として多く使われているトウモロコシ、大豆油かす、魚粉の輸出国は以下の国々です。(財務省:貿易統計)
トウモロコシ:アメリカ、ブラジル、中国 大豆油かす:中国、アメリカ、ブラジル 魚粉:ペルー、チリ、エクアドル

・トウモロコシはアメリカからの輸入が一番多く、そのうち92%が遺伝子組み換えのものです。
・大豆は上記油粕以外に食用としても輸入されています。年間約 434 万トン(国内生産は22 万トンほど)そのうち、約 308 万トンはサラダ油など製油用の原料に、残りの約 125 万ト ンが豆腐、 納豆、 みそ、 醤油などの食品用に使用されています。
輸入大豆の約 75%はアメリカからです。そしてアメリカでは、遺伝子組換え大豆が全体の 92%を占めています。

< 食肉生産に関わる温室効果ガスのデータ >
・黒毛和種繁殖牛の飼料の代表はトウモロコシです。牛肉1kgを作るのに、10kgの飼料が必要、豚肉は4kg、鶏肉は、2kgといわれています。
・牛や羊のゲップにより発生するメタンガスは、CO2の10倍以上の温室効果があり、世界で発生する温室効果ガスの5%を占めています。年間、牛や羊が出すメタンガスは20億トンと言われています。地球全体では400億トン排出。

< 世界の食に関する情報 >
①フランスでの脱肉食の取り組み 
フランスでは、グレートリセットという、持続可能な社会の実現に向けて「経済や社会を根本から変えようとする考え方」が市民に広がっています。
例えば、学校給食にその例を見ることができます。 保護者の発案で、リヨン市の小学校は週1回、肉を食べない給食の日を設定しています。
上記にも記載しましたが、牛や羊のゲップにより発生するメタンガスは、CO2の10倍以上の温室効果があり、子どもたちの安心安全な未来の実現のための行動なのです。
テレビで放映された保護者のインタビューの声は、「温暖化対策には小さな積み重ねが重要。食生活の見直しはその一歩。未来を担う子供たちの教育から変えていくことに大きな意味があるのです。」という物でした。
最近は日本でも植物由来のハンバーグやから揚げなど様々な加工食品の販売が伸びているとのことです。食生活の見直しもグレートリセットの一つです。

気候変動に関してのSDGsの達成のためには、この10年間が重要とされています。
その実現のために、世界22か国70名の研究者が考えたグレートリセットにつながる排出量削減実行策のランキングがあります。
第1位は冷媒、2位陸上風力発電、3位食料廃棄の削減(世界の温室効果ガス廃出量の8%。1kgの生ごみを燃やすと2kgのCO2発生)そして、4位が肉食を減らす(植物性食品を中心とした食生活でした。)

②世界の飢餓の状況
新型コロナウイルスパンデミックの影響で、世界の飢餓人口は2014年から穏やかな増加傾向が続いていましたが、2020年は2019年と比べて1億1800万人と急激に増加し、7億2000万人~8億1100万人と推計されました。

重度の食料不安を抱えている人は9億2800万人(12%)で、昨年より1億4800万人増えました。
食料不安にはジェンダーギャップも存在し、その差はコロナ禍でさらに広がりました。
また、23億7000万人(3人に1人)は適切な食事(必要な栄養素を満たす食事)にアクセスでき
ておらず、これはたった1年で3億2000万人の増加となっています。
さらに、健康的な食事(必要な栄養素を適切に摂取でき、多様な食品を含む食事)はコストが高いため特に貧しい人々にとっては手が届かないものであり、30億人が健康的な食事をする余裕がないとされます。

食料不安や栄養不良の主な要因は、紛争、気候変動、経済危機(コロナで更に悪化)などです。
これらは今後も続くと考えられ、2030年までに栄養に関する指標の目標は世界的にみて何一つ達成できそうにありません。
※出典地球と食料の未来のために ホーム 国際農研記事より 原典2021年7月12日、「世界の食料安全保障と栄養の現状(The State of Food Security and Nutrition in the World Report: SOFI)」の2021年版。

肉食を減らして、世界の穀物を皆で分け合えば、飢餓を減らすことにもつながり、温暖化抑制にも貢献できることをお伝えしたくこの文章を作成しました。大豆ミートのハンバーグやから揚げも結構いけます。価格もお手頃、まずは一度トライしては如何でしょうか?

同じタグの付いた記事

中山間地域の高齢化・人口減少について
私は岡山県高梁市の出身です。高梁市は岡山県内有数の高齢化率の中山間地域であり、それ故に多くの問題を抱..